成功する事を諦めた僕は、

サラリーマンで真面目に働き、出世する道を選んだ。

 

現在は給料が低いが、課長くらいに出世すれば、

家族を養えるくらいの給料は貰えたのだ。

 

サラリーマンとして頑張れば、

会社は違えど父と同じような大人になれると思ったのだ。

 

僕が背中を見て育った父は、

いつも夕食時に帰ってきて、土日祝は家にいた。

僕は野球部だったが試合の都度応援に来てくれた。

 

僕は野球で終始練習に励んでいたが、

盆休みや正月休みは部活が休みだったので、

遊びに行ったり一緒にキャッチボールをした。

 

父の実家の岡山県の山の上でキャッチボールをした時、

父の放った大暴投で即座にキャッチボールが終了し、

大爆笑した事は一生忘れる事の無い大切な思い出だ。

 

僕はそんな父になりたかった。

 

今までネットワークビジネスを努力した時間の全てを

仕事に置き換えれば父のようになれると思っていた。

 

僕は一生懸命仕事を頑張った。

Yesマンで上司の言うことに忠実に従った。

自分で考えて仕事の効率化を図った。

夜遅くまで仕事に打ち込んだ。

一生懸命努力したと思う。

 

仕事もだんだんと出来るようになり、

次第に成果もでるようになってきた。

 

しかし、頑張れば頑張るほど

父の影が遠のいていく気がした。

 

当時一緒に現場作業で汗を流した上司は

職場で寝泊まりをしていた。

 

3日に1回くらい、

「風呂に入りたいから帰るわ」

と言い残して深夜に家に帰った。

 

上司は結婚して子供もいる。

家族を養うために社畜になっていた。

 

口癖のように、

「いい仕事ないかな〜」

と言ってため息を漏らしていた。

 

金曜日は絶対に定時に帰って3人で飯を食う。

と、上司は猛烈なペースで仕事を片付けていたが、

狙ったかのように急な仕事が舞い込んで来て結局深夜まで働いていた。

 

風呂に入るついでに家に帰るが、

深夜ですでに子供は寝ている時間。

当然、子供が起きる前に出社。

 

大切な我が子の寝顔しか見れない人生。

 

 

ある時、そんな上司が寂しそうに僕に言った。

 

「子供におじさんと言われてしまったよ。」

 

僕は言葉を失った。

子供のために一生懸命働いているにも関わらず、

子供からしたら、たまに出会う近所のおじさんだった。

 

上司の口から放たれた衝撃的な一言を聞いて、

僕は仕事を頑張ることに違和感を覚えざるを得なかった。

 

一生懸命働くことは素晴らしいと思うが、

そのために失うものが多過ぎる。

 

どの会社もそうかもしれないが、

仕事が出来る優秀な人に仕事が舞い込んでくる。

 

だから頑張れば頑張るだけ馬鹿を見てしまうのだ。

 

子供におじさんと言われながらも、

20年という日々を家族を犠牲にして仕事中心に打ち込んだ末に

掴む栄光が給料の高い管理職だった。

 

ただ、管理職になっても忙しさは続くので、

結局のところ家庭を犠牲にするという選択肢以外は無かった。

 

お金を稼ぐために、

僕はそこまでしたくなかった。

 

サラリーマンとして出世するという選択肢を失った。

 

出世を諦めた瞬間に金銭的な不安が押し寄せてきた。

 

どうしようもない不安に押し潰されそうな日々が続いた。

 

経済に詳しい人は分かるかもしれないが、

日本経済は様々な大問題を抱えている。

 

国の借金が1000兆円を突破。

年金問題。

少子高齢化。

老後破綻。

老後離婚。

消費税の増加。

 

 

この中で年金問題1つを取って考えても、

自体は深刻だ。

 

1960年以降に生まれた人は支払った年金よりも

受け取る年金が少ないというデータが公表されている。

 

1985年生まれの僕は、

支払った金額よりも受け取る金額が平均2000万円も少い事を知り

やるせない気持ちになった。

 

また先日、年金投資の失敗で22兆円の大損害を喰らったという

耳を疑うようなニュースが流れた。

もしかしたら、僕らの年金生活は期待出来ないかもしれない。

 

考えれば考えるほど全てが嫌になった。

一度きりの人生なので、楽しく生きたいと思っていた。

 

別に豪遊したいとも思わないし、

働かずに遊びほけたいとも思っていない。

 

ただ、幸せな家庭を築いて、

毎日楽しく生きたいだけが僕の望みだった。

 

それすら叶わない現実を受け入れられずに

僕はひたすら苦しみ続けた。

 

 

・はじめに 

・第1部「僕の辞書から値段が消えた」

・第2部「社長が似合わない社長」

・第3部「BMWと軽自動車」

・第4部「努力の果てに掴んだ大損害」

・第5部「サラリーマンに突きつけられた現実」 ←今ココ

・第6部「運命の貧乏おばちゃん」

・第7部「月収100万円の恐怖」

・第8部「僕は教える事に快感を覚える変態だった。」

・第9部「夢のない男の唯一の夢」

・第10部「たった1日で手に入れた年収」

・第11部「楽しく生きる人生」